「The Dance of Cultures 鶴の舞」は、丹頂鶴の美しさを映したデザインだけでなく、ブランコを中心にコニャック樽とスペイン産オロロソ・シェリー樽で熟成した2種のエクストラ・アニェホを組み合わせた、文化とテキーラの融合です。本コラムでは、丹頂鶴との出会いからデキャンタの造形、テキーラのレシピ、そして中村獅童さんによる舞台でのお披露目まで、「The Dance of Cultures」という名に込められた世界を紐解きます。
The Dance of Cultures 鶴の舞
― 丹頂鶴から生まれた文化の融合 ―

釧路で出会った丹頂鶴の美しさ
偶然にも今年の2月に釧路で仕事があり、丹頂を実際に見てきたところです。
雪と見分けがつかないほど真っ白な羽に、首元と風切羽を締めくくる深い黒。そして頭頂にただ一点、鮮烈に灯る真紅の斑紋。この色彩構成は、華美さを削ぎ落としながら気品ある白さを見事に引き立たせます。率直な感想を一言で言うと、白い、ものすごく白い、となります。
丹頂鶴と「The Dance of Cultures 鶴の舞」
冷気の中で二羽が向かい合い、羽を広げて舞う「求愛ダンス」も見ることができました。
「The Dance of Cultures 鶴の舞」のデキャンタは、まさにこの時の印象そのままです。遠いメキシコから、極寒の釧路のこのイメージが正確に再現されていることに驚きました。クリエイティブディレクターのSofia Ortiz Garcia(ソフィア・オルティス・ガルシア)さんは陶芸を中心に活躍するアーティストで、日本でも陶芸を学んだ経験があります。そうでもなければ、なかなかこの表現力は持てないと思います。このデキャンタは650本限定です。
テキーラはブランコを中心に、6年以上熟成させた2種のエクストラ・アニェホをブレンドしたホーベンの造り。1つはコニャック樽、もう1つはスペイン産オロロソ・シェリー樽です。
ブランコを中心としたホーベンの造り
クラセアスールでよく見られる、ブランコにエクストラ・アニェホを加えるホーベンの造りですが、これはテキーラファンから見るととても理にかなっています。テキーラの魅力はやはりアガベが主役。他の蒸溜酒には無い複数年育てた主原料であるアガベには、美しいリコリス香や、麦や米では出ない柔らかい甘みがあります。ここをしっかりキープしつつ、美しい香りを調香して加えていくのは、極めてロジカルなレシピです。
2種のエクストラ・アニェホ
今回加えている2種のエクストラ・アニェホ。コニャックに使用した空樽熟成のテキーラからは、ドライフルーツ、バニラ、キャラメル、スパイス、ナッツなどが、スペイン産オロロソ・シェリーに使用した空樽熟成のテキーラからは、レーズン、いちじく、デーツ、クルミ、ナッツが現れます。このレシピは蒸溜長のViridiana Tinoco(ヴィリディアナ・ティノコ)さんによるもので、長年発酵を専門に研究し、Universidad Autonoma de Guadalajara(グアダラハラ自治大学)の「テキーラ製造工程」の修士も持っています。
デキャンタ、レシピ、ともに完成度が高く、日本限定で発売された「The dance of cultures 鶴の舞」、海外からわざわざ購入しに来る人が多いのも分かります。
日本限定品「The Dance of Cultures 鶴の舞」のお披露目会
先日、白金の八芳園で行われたお披露目会では世界中からのゲストで賑わっていましたが、観客の後方から中村獅童さんが白頭をつけた『石橋』の獅子の衣装で現れ、ゲストの間を一気に駆け抜けてステージに上がり、片手に「The Dance of Cultures 鶴の舞」を持ちながら見得を切ってくれました。これにはゲスト全員が驚いておりました。
歌舞伎では持道具の扇子でお酒を表現する事はよくあるのですが、今回は丹頂を表現した美しいテキーラのボトルです。白頭ともよく合っており、参加者は皆鳥肌ものでした。
「The Dance of Cultures」というコンセプト
その後のテイスティングでは、トップノートにアガベの柔らかいリコリス香、柑橘、ドライフルーツ、ナッツ、フィグ。味わいは重合度の高い糖を感じさせる滑らかな甘みに、ほんの少しのスパイス。フィニッシュはドライフルーツにクローブが重なった長くエレガントな美しさです。
デキャンタ、テキーラ、獅童さんの舞、全てが1つの文化を形成しており、The Dance of Culturesというコンセプトを見事に体現した会でした。
